「報道ロンダリング」AFP、日経、ヤフーも中国共産党プロパガンダを日本語配信

※以前noteで公開していた内容を一部更新の上掲載しました。

 

普段何気なく接しているニュースの製造工程を気にしたことはありますか?あなたが読んだその日本語ニュース、製造元は中国共産党かもしれません

 

複数メディア(通信社)を経由してニュースが世に出ることを「報道ロンダリング」と独自に名付けました。今回は大手メディアが中国共産党プロパガンダコンテンツ日本語展開の片棒を担いでいる実例を考察したうえで、その危険性を指摘します。

 

中国共産党プロパガンダの日本語展開をするメディア

有名なのは毎日新聞の「 China Watch」。

中国国営英字メディアのChina Dailyの日本語版を展開しているのが他でもない毎日新聞。つまり毎日新聞は中国政府から広告料というお金を受け取って中国に都合の良いニュースを伝えていすのです。The Guardian等も実態を伝えていますが、照会に対する当の 毎日新聞の説明は「20168月より日本語版の印刷、配布に協力することにしました。」「日本語版は中国側の宣伝につながるような政治的案件を除いた文化、芸術、スポーツ、観光、経済などに絞ったスタイルとなっています。」など煙に巻いているような印象を受けますね。

中国には言論の自由報道の自由もなく、市民の発信も行動も監視され、海外媒体の在中国特派員は時に身柄拘束される現状を目にし、中国政府が公開する情報に透明性があると思う人はいませんよね(透明性を主張する人がいたら逆になんらかの目的や意図があるとみて良いです)。国営メディアしかりです。

以前より「China Watch」を展開していた毎日新聞に加え、最近はAFP、日経、Yahoo!ニュースも中国国営メディア新華社の日本語版を配信展開するようになりました。

 

新華社は中国国務院が管轄する中国国営メディア、英語表記はXinhua News

 

AFP日本語版の「From China

AFPはAgence France-Presseの略、日本語版の運営は株式会社クリエイティヴ・リンクという企業、日本語ニュースサイトは「AFPBBNews」名義。AFP通信社の特派員が日本にいるのは確認していますが、本社AFP所属でクリエイティヴ・リンクが翻訳しサイト構築だけしているのか?ローカル採用記者などの実態はよくわかりません(情報提供歓迎です)。そしてクリエイティヴ・リンクは 英日翻訳者とニュースエディターの求人をたびたび出していますが、エディターですら在宅勤務なので独自取材はしていないと思われます。

AFP日本語版が展開するFrom Chinaこちら

その内容は、新華社CGTNPeople's Daily(人民日報)などの中国国営メディアを日本語化し、見事に中国に好意的な記事だけを集めたニュースポータルです。

 

From China

このAFP、本家フランス語版ではFrom Chinaは展開していないという情報提供もありました。

 

「From China」を執拗に告知するAFP日本語版

AFP日本語版本体(AFPBB)のX( Twitter)アカウントがわざわざAFP From ChinaアカウントをRTしたり、再三にわたりFrom Chinaを宣伝。見たくなくても強制的に目に入るんです。

それにしても「ぜひフォローよろしくお願いします☆彡」 というゆるふわ路線は一体誰に向けて発信してるのでしょうか。気色悪いことこの上ありません。

 

AFP日本語版のアンケートに回答すると中国国営メディアカレンダープレゼントのキャンペーンまでも展開し、新華社とCGTNのカレンダーをエサにしていました。

 

X(Twitter)で言論戦狼外交を繰り広げる中華人民共和国駐大阪総領事のXueJian氏も度々AFP From Chinaをリポストで応援。思いっきり当局者にエンドースされています。

まあそういうことですね。

新華社AFP日本語版経由で日経クロステックにも進出

以前から媚中具合が目につく日経でしたが(特に日経BP)、日経クロステックにも2020年から新華社のニュースが掲載されています。

 

xtech.nikkei.com

 

日経クロステック は以前から社外フリーランスライターを起用し、それも妙にファーウェイやLINE等の特定企業に都合の良い内容を書く人物 すらいる。自社リソースでは完結していないからか、記事によってだいぶ品質の凸凹があります。

この場合、ニュースのロンダリング工程は、

 

新華社(中国国営メディア) → AFP が日本語化 →日経クロステックが掲載 

 

という構図。

例えばこの記事を例にしてもクレジットの通り、元は新華社のニュースをAFPBBが翻訳編集したものを日経クロステックが掲載しています。

 

Yahoo!ニュースも中共メディアを日本語配信、よく見ると日経とAFPの影

媚中ソフトバンク傘下で悪名高いコメント欄を運営し、そして今や日本最大のニュースプラットフォームとして実質的にデジタル報道を支配しているに等しいYahoo!ニュース。支配の実態は特攻さんのブログが詳しく解説されていたのですが、残念ながら閉鎖されてしまいました。

Yahoo!ニュースも新華社の日本語ニュース配信をしています。

2例解説します。

ひとつは36Kr Japan経由の配信で、よくよく見るとこれもロンダリング36Kr は中国最大のベンチャー/ITメディアで、その日本語版36Kr Japan日経新聞社とのパートナーシップで運営されています。

 

この場合、ニュースのロンダリング工程は

 

新華社 → 36KrJapanが日本語化 → Yahoo!ニュースが掲載  

 

という構図。

また最近はAFP日本版経由で中国共産党メディアの日本語記事がYahoo!ニュースにて配信されています。繰り返しますが中国当局にとって都合の良いことしか書かれていない、言論の自由のない圧政国発のプロパガンダです。

news.yahoo.co.jp

 

この場合、ニュースのロンダリング工程は、

 

新華社(中国国営メディア) → AFP が日本語化 →Yahoo!ニュースが掲載 

 

という構図

 

中国共産党プロパガンダYahoo!ニュースという日本最大ニュースプラットフォーム掲載で懸念されることは、一方的に発信される言論の自由のない圧政国家にとって都合がよく時に日本にとっては事実に反したり好ましくなかったりする内容が多くの読者を獲得し、影響力工作の浸透効果もしかり、disinformationによる情報汚染が起きる可能性が高い点です。それがたとえ毎日新聞の言い訳の様に文化、芸術、スポーツ、観光、経済の分野の内容であったとしても、プロパガンダの目的は政治的に中国にとって都合良い側面を刷り込み印象付ける事です。

 

AFP?日経?Yahoo!ニュース?あなたが何気なく読んだその日本語ニュース、製造元は中国共産党かもしれません

 

ニュースの製造元を意識すべきでは?

特にロイターやブルームバーグで顕著ですが、英語元記事を日本語記事にする過程で、元記事と全く内容が異なる恣意的改変が起きることもしばしば。単なる誤訳もあれば、わざと切り取り、重要な部分を省略するなど単なる翻訳の品質問題だけではなく、日本マーケット向けに意図的に内容をチューニングしていると思われる記事もあります。つまり大手英語圏発メディアの日本語版ですら恣意的改変は日常的に行われています。

それでもまだ英語圏発の内容なら一次ソースや他の報道に容易にあたることもでき、現地邦人や現地住民の発信等から真偽のほどを確認できることも多い。しかし中国に関しては、前述の通り政府発信の情報に透明性はなく、現地住民の発信にも制限があり、検証手段すらごく限られている現実に留意すべきです。

特に中国発や中国に関する記事に対してはどんなバックグラウンドの人が書いたのか?どんな媒体か?主張の一貫性は?背後の意図は?など、注意に注意を払って読むくらいで良いと思います。

 

そのニュース、誰(どんな人)が、どんな意図で、どこに向けて発信したものですか?

報道側からフェイクニュースを糾弾しファクトチェックを叫ぶ人たちは、なぜか見事に皆アンチトランプでアンチ自民で、新聞やテレビを擁護しています。自分たちに都合が悪いことは無視、事実誤認を指摘されてもスルー、意見を異にする人たちの弾圧手段にファクトチェックを濫用する人物の姿も目につきます。大手メディアの誤報や捏造、見出し詐欺や印象操作等に対しては、SNS等で自発的に声をあげる一部の専門家の発信はもちろんのこと、大抵がアンチ大手メディアである検証能力のある匿名個人による指摘は的確で核心をついていることも多く、結果として有志カウンターインテリジェンスになっているという皮肉な現状があります。

もちろんSNSにもデマ主はいますが、大手メディアだからといって記事内容が正しいわけではないのはこの記事を読んでいる方なら重々ご存知のことと思います。

 

ニュース流通の視点からは新聞、TV、ネットメディア等の報道機関が発する情報の方が社会的影響力が大きく、何らか意図のあるデマや煽動なども紛れており、より問題が大きいのではないでしょうか。

 

いずれにせよ、メディアリテラシーとはTVや新聞に代表される既存メディアの発信を鵜呑みにせず批判的・横断的に物事を読むスキルと思います。